ネタバレ有感想『カカオ90パーセント』

f:id:tadorineru3:20210412225805p:image

小説の感想です。

 

『カカオ90パーセント:ビターエンドBL短編集』(えりか書房)

楢川えりか(著)

 

Amazonの商品説明より】

ビターエンドボーイズラブ短編集。

ある年末の日、元彼の幸せな家族写真を見てしまう話。ゾンビになって余命があとわすかだと知り、初恋の人に会いに行こうとする話。結婚した幼なじみの訃報を聞く話。感染症が蔓延する中、触れることのできない病弱な恋人との話。

『「カカオ~」の主人公は孤独だし、宏樹も祐志も永遠に片想いだし、拓巳は遅すぎるし、康介は体が弱いし、純一と康介は触れ合えないし、みんな幸福とは言いがたい。それでも、程度の差はあれみんな、些細なことにも幸福への期待を持って、美しい過去を心の支えにして、彼らなりに一生懸命死ぬまでは生きていこうとしている。
たぶんこれは、そういう短編集なのです。』(あとがきより)

 

………………………

………………………

 

楢川さんの作品、さすがの美しい文章……!!

まるで室内楽を聴いてるような、

雨の休日に、ゆったりとあたたかいお茶を飲んでるときのような。

 

胸の柔らかいところに、すっと、じわっと、しみこんでいくようで……。

 

短編集なので、それぞれのエピソードの感想を書いていきますね。

 

…………………………

…………………………

【カカオ90パーセント】

 

私も、写真店の店先の写真に、知り合いを見つけたことがあります。

割とドキッとしますよね、私の場合は相手は恋仲ではなく部活の先輩でしたが。

 

私も過去の恋に妙に意味付けされてしまった食べ物やアイテムがあります。場所もあるかな。

 

「それにまつわる思い出」を、相手は今も覚えているのかな、相手の今のパートナーさんは、どうしてるんだろう……

そういうこと、何気ない瞬間に、私も考えちゃうな。

 

苦いカカオチョコレート、

 

もう終わった恋、

 

そういうものも、人生という枠組みでみたら、美しい宝物のように撫でたいなあ……

 

そんな余韻に浸れた短編。

 

…………………………

…………………………

【明日からは君を守れない】

 

「あー瀬川、おまえもなっちまったか」

 

先輩……(´;ω;`)

 

嘘がかっこいいな、先輩。

そして、なんか、わかるな。

 

ゾンビが溢れて世の中がめちゃくちゃになっちゃったら、私もこんなふうに、自分の好きな人に嘘ついてでも役に立ちたい、触れたい、そばにいたい。

 

諦めるタイミングをまた間違えた?

と拓巳は問うけど、世界がこんなめちゃくちゃになって未来もぐちゃぐちゃなら、正解なんて分からないもんね。

先輩の行動によっては、このタイミングで死ぬことはなかったとしても……

それよりも、人間もゾンビも殴って桜と浜辺のセックスを堪能する旅のほうが、何倍も鮮烈な時間で幸せMAXな気がするから。

 

間違ったり遅くなったり、またするかもしれないけど、でも、だからこそ、掴めた愛も幸せな時間も、あると私は思う。

 

『なぁ瀬川、俺はおまえに殺されたいよ』

 

そういう幸せな形、愛の成就の仕方もある気がする。

ビターだけど、とっても愛に満たされるエンドだなぁ……。

 

*なお、こちらの作品は天色文庫の『アズール』の規定に当てはまる、『性的な関係の描写は、匂わせまで』(朝チュンなど)の作品。

いい…!いい……!!

そうそう、こういう、作品のリズムや流れをエロがぶったぎらないBL小説を求めてたんですよーーー

。゚(゚´ω`゚)゚。✨✨

私はエロ濃厚なBL小説も好きですが、それよりも『物語、空気感を堪能したい』派なので、天色文庫さんの存在、ありがたいです…!

「エロの細かい描写がないほうが、空気感がより美しく完成されるBL小説」は有ると思っているので……!!

天色文庫内でシエルかアズールか、で描写の程度がわかる・選べるのもステキですね😊

 

…………………………

…………………………

【走る勇者の思い出】

 

私は一時期、箱根駅伝にハマっていたので、より萌えました!

 

長距離ランナーの美しさ、いいですよね……。

神々しいものを見てる気持ちになります。

 

大手町の雰囲気、テレビ越しでしか知らないけど、それでもあの冷気と緊張感の、痺れるような感じは分かる。

 

その瞬間の彼の記憶を得てしまったら、誠くんは一生勇者だし、一生、好きでいてしまうだろうなあ。

 

作者さんがあとがきで主人公について

 

「僕が未来と付き合っておけばよかった」と言い出すような、恋に夢中なあまりに自己中心的な人間

 

と表現しています。

 

なるほど、なるほど。

 

きっと宏樹の恋は、誠のランニングフォームのようにまっすぐまっすぐ進んでいくかのごとく、まっすぐに、まっすぐなんだろうなぁ。

 

 

すがすがしい。

 

箱根駅伝のあのランナーたちの美しい姿に負けてない、だろうなぁ。

 

やはり楢川さんの作品は、作品としてのまとまり、空気感がすごくステキ……✨✨

 

…………………………

…………………………

【この世界の向こうまで】

 

好きだけど、好きあってるのに、目の前にいるのに、触れ合えない2人。

 

コロナの影響で、『人と会うこと、触れ合うこと、距離』を世界の誰しも考えたり、苦しんでる今。

そして、コロナがなくても、命がいつまで続くかわからない康介、そしてその康介を、愛する純一。

 

短い物語の中に、自分と重なる何かを見て、ずーんと心にくる短編でした。

 

私は、私の愛する人を、今日は愛せたかな。

 

どうなるか分からない未来、それでも今日を生きるために、明日の灯火の準備をして、その灯火だけで生きていけるだろうか。

 

いや、生きていかないと、どうにもならないから、せめて、せめて、パーフェクトな100%な幸福じゃないとしても、自分の中の愛を、私は大切にしていけたらいいな。

 

………………………

………………………

 

美しく胸にしみる短編集、ありがとうございました😊

 

そして『天色文庫』というステキなコンセプトにも感謝です。ありがとうございます!

 

ネタバレ有感想『はなのひつぎ』

f:id:tadorineru3:20210412223802p:image

小説の感想です。

 

『はなのひつぎ』(暮光梅ノベルズ)

佐竹梅子(著)

 

Amazonの商品説明より】

繁栄の続く芙蓉国は、勢力を伸ばす桔梗国に対し同盟の使者を送る。
そこで出会うのは――
芙蓉国王の名代である平凡な宦官・瑞雪と
桔梗国王の懐刀とされる秀麗な将軍・彩周。

対極にある二人の運命を、二つの国が翻弄する。

アジアン風BL/ブロマンス/登場キャラクターの死に関する表現有

《この作品は ブロマンスレーベル 天色文庫 <シエル> に参加しております》

 

…………………

…………………

 

。・゜・(ノД`)・゜・。ああ……!

そういう展開になるとは……!!!!!

 

前半の瑞雪のふわっとした雰囲気が……いえね、国同士のなかなか緊迫してるはずの状況、どうなるのかな?

頭は良いだろうけどなんだか可愛くて天然?な瑞雪は、ここでどんな活躍をするのかな??

なんて考えながら読み進めていたら……

 

おおおおおおおおお

すっごく、覚悟、キめるじゃん………っっ

 

。゚(゚´Д`゚)゚。

 

「始めから捨て駒にされてた」と気づいてからの、瑞雪の覚悟は、怖いくらいで……。

でも、仕方ない、よね。

裏切られて裏切り返す瑞雪の行動も、そして最初からそのつもりだった芙蓉の国策も……

戦争が悪いんだ、戦争が……っ!

 

そしてそして、若雲……

 

(´;ω;`)

 

うっ、ううう………。

 

瑞雪と若雲の、ブロマンスのような絆、尊いです……尊いが故に、つらく、にがい……

。゚(゚´ω`゚)゚。

絵の手紙の描写が、私も絵を描く人間なので、ぐっときます……。

 

その苦さも含めて、空気感の美しい作品でした。

 

彩周が今後の瑞雪の支えになってくれるんだろうな、という予感や、若雲とのブロマンスのように深い絆など、堪能させていただけました。😊

とくに、彩周との関係性が、まだ、フレーバー程度までに抑えられてる作風も味わい深いなぁと。

その香り、始まりの雰囲気が美しかったです!

 

←最近の商業BL小説(エロが一冊の中に複数回、BL的ないろいろな暗黙のルール・縛りあり)に当てはまらない作品をのびのび読みたかったので、読めて嬉しかったです。

 

ステキな作品を、ありがとうございました!

 

 

 

 

ネタバレ感想『その扉をたたく音』

f:id:tadorineru3:20210301104256p:image

 

『その扉をたたく音』

瀬尾まいこ(著)

 

f:id:tadorineru3:20210301104324j:image

Kindleの本の説明欄より。)

 

※ネタバレ込みの感想を書いていきます!

未読の方はご注意ください!!※

(未読の方はここから先は読まないで〜!)

 

**********

**********

**********

**********

 

【私の感想・要点】

 

・(心の)扉をたたく音が必要だったのは宮路だけでなく、渡部の人生にとっても、すごくすごく必要だったんだと思う。

 

・この作品、

渡部視点がめっちゃ奥が深そうだし、

それも心に刺さりそう。

 

・口の悪い、そして賢い水木さんは、渡部さんと似てるのかもな、なんて個人的に思いました。

 

***********

 

主人公・宮路(無職)の視点で語られるこの物語。

渡部に音楽やろうやろうと猛アプローチする宮路の危なっかしさにハラハラしつつ……

 

読んでいて気になっていたのが、

 

渡部の性格や本音。

 

宮路の言動をにこやかに、ふわりとかわす渡部の描写に

 

「え……

渡部は不思議ちゃん?天然?

それとも

めっちゃ冷ややかな本音を隠してる??」

 

と、序盤は読んでいて渡部の性格が掴みどころがなくて、なんだかハラハラしました。

 

いきなりグイグイくる宮路は、言い寄られる側からしたら……私なら、はっきり言って怖いと思う。

『…何、この人?困るんだけど……』

って。

 

一歩間違えたら相当な不審者の宮路と一緒に演奏したり飲みに行く渡部は、人をジャッジする事なんて無い、心根が優しい青年なのか?なんて一緒は思いました。

 

でも、やっぱり違いましたね!!(笑)

 

【14】での

「いえ。ばかだなあと思っているだけで、ばかにはしていません。」

 

とか

 

「宮路さんが気持ちよくなりたいなら、カラオケボックスにでも行ってください」

 

という渡部の言葉、すごい切れ味!

やはり、『ふわふわした良い人』キャラとは違った……。

 

むしろ、こんな辛辣な見方もするのに、面と向かって馬鹿にしないあたり、むしろなんというか……渡部の心も、一筋縄ではいかなさそうだな、と。

 

私が思ったのは

『もしかして渡部は諦め癖が強くなりすぎて、人生が窮屈になってるんではないだろうか。

本当は、扉をたたかれる必要があるのではないか?』

ということでした。

 

そういう視線で振り返ってみれば、渡部の言葉は

 

【11】

「でも、ぼくは全然不幸じゃないんですよ。」

 

とか

 

「祖母と暮らしていて介護士となると、勝手に大げさな感動ものにされちゃうんですけど、何一つぼくはあきらめてもいないし、不自由してないんです。」

 

と、淡々と「自分は不幸せではない、何も諦めてない」と説明するけれど……

 

その淡々ぶりがひっかかるというか、物分かりが良すぎるし、納得しすぎてる。スルースキルが高いし、感情は見えない。人との関わりの願いも欲も見えてこない。

 

でも、物語の展開で……水木さんの葬儀へ宮路を連れ出す時に、やっと、彼の口から、彼の心が見えた。

 

【17】

「ぼくを葬儀場に一人で行かせないでください」

 

……本当は、寂しかったり物分かりが良くない部分だって、渡部にはあったのではないか。

 

しっかり働いて、しっかり家族(祖母)を大事にしてる渡部もまた、心の殻の中にいたのではないか。

 

ラストの方で、『本当は好きな人がいるのに告白しないのか』と宮路に指摘されてしまう渡部。

 

【18】

「はあって、本当のぼんくらは俺じゃなく、お前だな」

 

この宮路のセリフで、この本の内容がひっくり返ったような気がした……というか。

まるで真逆ようだけど、鏡写しのように対になってるんだなぁ、って。

 

心の扉をノックして欲しいという切実さを心に押し込めていたのは、渡部や水木さんも同じだったんだなぁ……って。

渡部さんも水木さんも、賢すぎて、諦めることの達人って気がするので。似てるところが多そう。

 

それはラストで『音楽の天才・神の音は、どこにでもありふれている』として、

冒頭の宮路→渡部への驚嘆もひっくり返したのと構造が似てる気がします。

(これ、小説なので渡部の演奏技術が天才級なのか読者には判断できないのが、まるでトリックみたいですよね。で、どっちなんだろ。渡部って天才なのかな??)

 

……

 

爽やかな音楽小説でありながら、見えてない渡部の心境がもし見えたら、そこは『諦めばかりが上手くなった、彩りの少ない世界』かもしれないし、

もしかしたら渡部→宮路への冷ややかすぎる印象や、諦観の奥の苦しみも見えたかもしれない。

 

めっちゃ読みたいなあ、渡部視点!!

人によっては、グサグサと心の奥に描写が刺さりそう(笑)

でも、いろんな場面での渡部の心境は『それは読んだ人の想像にお任せ』なんだろうなぁ〜☺️

 

と、ここまでの感想や考察は、あくまで私個人的な感想です。

間違えてる可能性も高いので、ご了承ください!

 

まとめると、渡部視点も読みたいなあ、と強く思った作品でした☺️

 

 

 

 

 

 

物語風レビュー『竜と水面に光る街』

f:id:tadorineru3:20210227160414p:image

 

ご紹介する本は、こちら。

(以前に、感想ブログを書いたことのある本です)

 

『竜と水面に光る街』

秋月ひかる(著)

 

f:id:tadorineru3:20210227160552j:image

(画像は、Amazonの商品説明より)

 

こちらを、物語風にレビューしてみようと思います。

 

*************

この物語風レビューの世界は、私の書いたフィクションです。

紹介する本の魅力は、実在のもの(秋月ひかるさんの『竜と水面に光る街』)です。

 

※紹介する本のネタバレはありません※

 

*************

*************

 


☆登場人物:

・主人公 加藤さん…文章における『私』。20代後半のOL。詳しい設定は特になし。主観の役割をする、モブみたいな主人公。

 


・店員の高橋さん…いっぱいいる店員さんの1人。今回の休憩スペースの当番。

 


・鈴木さん…高橋さんと雑談をしているお客さん。30代っぽい女性。

 


☆設定…

主人公加藤さんの住む地方都市の片隅に、ある時不思議な中規模のショッピングモール『ポンポン』ができた。

妙に居心地の良いそのモールには、これまた不思議に居心地のいい休憩用のカウンター席がある。

ショッピングモールのいろんなお店の店員さんが交代で駐在しており、お客さんに店舗の案内をしたり、談笑することも。

よくそこで休憩をする加藤さんは気付く、店員さん達は、それとなく本の紹介をすることが多いことに……。

 


【導入】


今日も、当番の店員さんはニコニコとお客さんと談笑していた。


私・加藤が聞き耳をたててしまうのは、もはや癖になっている。


居心地がよくてやたらと通ってしまう謎のショッピングモール『ポンポン』には休憩スペースがある。

変わってるのだけれど、カウンター式で、しかもモール内の店員さんたちが代わる代わる当番を務めて駐在してくれている。


もちろん、彼らはそういった飲食店のプロではないのでサービスの質はまちまちだし、中には敬語も怪しい店員さんたちもいる。


さらに不思議な特徴があって、


・本をオススメしてるのをよく見かける(『ポンポン』には書店もある。)


・ここで厄介なことをするお客さんは、何故かいない


すごく居心地が良くて、お客さんも面倒ごとを起こさないのは、もはや魔法だと思う……そう、魔法。


まるでこのショッピングモールにも、この休憩用のカウンターにも、魔法がかかってるんじゃないかと、私は思う。


この魔法なようなカウンターで雑談するお客さんは、何故だか会話の流れで自然に苗字まで名乗っている。

不思議だ。これも魔法なんだろう。


*************

*************

 

 

「なるほど、最近はお仕事や実家のことで、疲れがたまってるんですね」


今日の当番店員・高橋さん(名札でわかる)は嫌味のないニコニコ笑顔で、女性客と談笑していた。

 


会話の相手は、カウンター席に座っている女性。

見た目から、アラフォーか30代半ばかな…?と私は思った。

お名前はどうやら鈴木さん。

 


鈴木さんは笑顔を崩さないまま、ため息をつきながら話す。


「仕事ね……。最近は、ほんと、疲れるの。仕事内容自体は嫌いじゃないんだけど、最近採用された人がなんだか苦手なんですよ。いろいろあって。

実家との仲が拗れてるのは、前からで。

なんとか揉めないように距離とってだんだけど、仕事のストレスでイライラしてるから、家族とのやり取りも穏やかにできなくて……。

誤魔化してた仲の悪さがまた表面化したって感じなんです。」

 


鈴木さんは、重くなりすぎないようにと口調に注意しながら話してるようだと私は感じた。


何が苦手なのか具体的には語らないけれど、鈴木さんの感じているストレスは相当なもののようだ。

 


高橋さんは「大変ですね〜」とふわっと受けとめている。

 


「あ〜あ仕事辞めたいなって思っちゃうの。前は全然そんなこと思わなかったし、今でも辞めたくない気持ちも大きいから、実際に辞めないんだけど」


鈴木さんは休憩スペースの自販機で買った甘い紅茶(ペットボトル)を少しだけ口に含んだ。

 


高橋さんは

「仕事で行き詰まると、旅行とか、行きたいですよね〜」

と軽い感じ(不愉快ではない)で言う。


「そうそう、旅行とか行きたい。

外国に引っ越したい!くらい思っちゃう。

といっても、私は英語とか苦手だから、実行できないんだけどね。」

 


少し間をとってから、思い切ったように、でも静かに、鈴木さんは続けた。


「私ね、そもそも、日本の社会に合ってない気がしてね。

会社とか、学校とか、組織とか集団にそのままじゃうまく馴染めなくて。

『その集団での、普通、平均的な振る舞い』を必死に探って、演じてるような感じ、かな。

今の会社もそれでなんとか居心地よく過ごせてたんだけど……1人違う人が来たくらいでそれが崩れるなんて……なんか虚しくなっちゃって。

ははは、弱ってるのかな、私」

 


高橋さんはふと思いついたように言った。

「そういえば、僕、最近面白い本を読んだんですよ。外国が舞台の、ファンタジー。」


「へぇ、ファンタジー?『剣と魔法!モンスター!』って感じの?」


「いえいえ、そういう中世ファンタジーじゃなくて、現代の外国を舞台にしたものですよ。

確か剣は出なかったです。

でもドラゴンは出ました、あと、宙飛ぶイルカ!」


「イルカ!いいなぁ、私、イルカ好きなんですよ。いつか海でイルカを見に行くツアーに参加したいなぁ、って想像することがあるの。

イルカ、いいですよね」


「可愛いんですよ、『いーちゃん』って言うんです」


高橋さんはまるで愛猫の魅力を語るようにニコニコと『いーちゃん』のことを話していた。

 

「可愛いだろうなぁ、その、いーちゃん。で、そのいーちゃんと、ドラゴンを倒すんですか?」


「ドラゴンは倒しません!味方なんですよ、ドラゴン。

味方というか……ドラゴンの設定は、その小説の世界観の中心部分なので、あんまり僕からは語れませんけども」


「主人公の味方になるの?ドラゴンとイルカが」


「イルカのいーちゃんは、主人公さんにとって特別な存在ですね。

どんな可愛らしさかは、それも本で読んでいただいて……あ、その本、Kindle電子書籍で発売されてるので、この『ポンポン』の書店にはないんです。

でも、オススメですよ!

なんだか鈴木さんに合いそう」


「へぇ〜、読んでみようかな」


「その作品の主人公・礼一さんは、日本で勤めていた企業を……いろいろあって辞めて、オーストラリアに行くんです。

そこから物語が始まって。

で、イルカのいーちゃんに出会うんです!他の人には視えない、彼だけの、特別な宙とぶイルカに。」


「仕事を辞めてオーストラリア!

いいなぁ、憧れちゃう。

それと、人には、視えないイルカ……」


「主人公の彼が住むことになる場所は、そういう、『他の人には視えないもの』が見える人たちが住んでいて。

そこで出会う住人たちも、とにかく魅力的なキャラクターばかりなんです。

不思議なものへの関わり方も、それぞれのキャラクターによって違って……。

あ、主人公の礼一は何かを具体的に見るのはそのイルカが初めてだったらしいんですが、ずっと日本の社会では「素の自分を隠さないといけない」ような、馴染めなさを感じてたみたいです」


「へぇ……その主人公、興味あるなぁ……」


鈴木さんは呟いた。

鈴木さんの人生のどこが主人公と重なるのかは私には分からないが、きっと、何かあるんだろう。


高橋さんは続ける。


「出てくるキャラクターは20代以降の、大人のキャラクターばかりなので、読んでいて落ち着くっていうか。

ティーンの子たちが活躍するファンタジーも好きなんですけど、関心の対象が、やはり10代特有になっちゃうじゃないですか。

大人のファンタジーは、仕事の話とか、大人の恋愛の悩みの描写あるし、興味深いし、ファンタジー要素も楽しいし、いいですよ〜」 


「恋愛もあるの?」


「主人公はゲイの方で、男性同士の恋愛描写ですね。

すっごくロマンチックですよ。

ちゃんとそういう……エッ……か、官能的な描写もあって、読んでいて僕もドキドキしました」


「へぇー!

ドキドキとかときめきとか、ここ最近の自分にないから、物語から摂取したいなぁ!

そういえば、私、最近は気が滅入ってて、本だけじゃなくてドラマも映画も観てないの。

でもその本、すっごく興味出てきた。

外国暮らし…日本の企業を辞めた主人公…イルカやドラゴン…。

私の憧れも共感もあるし……それにね、『人には視えない何か』みたいな、そういう不思議なものに私、ちょっと興味があって……。

いま聞いただけでも、主人公のいろんなこと、知りたくなっちゃった。

恋愛も読みたいな、自分にご無沙汰だから『恋愛とかややこしい人間関係は、今はいらない』って思うのだけど、ときめきやドキドキは……正直、欲しくて。」


鈴木さんは伏せ目がちに笑った。


高橋さんはそれを茶化したりはせず受けとめている。

 


(もしかして、鈴木さん、何か視えるのかな)と私は思った。

私自身は霊とか妖精とかそういうのは視えないけど、不思議な感覚があるらしいって人は、知り合いに何人かいる。


鈴木さんは私の知り合いの『不思議なものが視える?系』の人たちに感じる「ふわっとしてる雰囲気」を私は感じないけれど……

だけど、鈴木さんからわずかに伝わってくる孤独感が、なんだか気になった。


もしかしたら、私が「ふわっとは感じない」だけで、それは巧妙に隠してるだけなのかもしれない。


人のことは、見ただけでは分からないもんね、と自分に言い聞かせながら、わたしは視界の端に鈴木さんも高橋さんのことを意識し続けた。

 


「えっと、その本、Kindleで買えるでしたっけ?何てタイトル?」


『竜と水面に光る街』っていうんです。メモってくださいね〜」


「りゅうと……すいめん……あ!Kindleで、出た出た。サンプルダウンロードしとこっと」


「ふふふ、楽しんでくださいね」


高橋さんは自然な動きで、カウンターからちょっと離れたチラシの棚の整理に向かっていた。


鈴木さんはペットボトルの紅茶を飲み切ったらしい。少しすると、「ありがとうございました」と言って席を立った。

少し表情が柔らかくなっている気がした。


私も、もう少ししたら買い物に戻ろうかな。


あと、Kindleのアプリを私も入れようと思った。

 


(終わり)

 


(※紹介してる本は実在のものですが、物語風レビューの物語は私が書いたフィクションです)


****************

 

お読みいただき、ありがとうございました!

 

『竜と水面に光る街』(秋月ひかる・著)

オススメです!!☺️

アイドル部山脈感想会、ありがとうございました!

f:id:tadorineru3:20210225030147p:image

#アイドル部山脈感想会

 

f:id:tadorineru3:20210225030244j:image

アーカイブ、00:29:30】

ヤマトイオリさん
「大和くんはそういう、いろんな気持ち、いろんな『許し方』を覚えたな、って」

 

深すぎる……!

なんというキャラ解釈……っ!

 

お三方のことは今回のセッションで知ることができ、感想会での解釈の深さ・キャラ愛の大きさに、ものすごく痺れました☺️✨

 

……………

 

【アイドル部山脈について】

 

私はたくさんTRPG狂気山脈プレイ動画を観ていて、どの卓も大好きなのですが、

 

今回のアイドル部山脈では

 

・コージー生存となった、ファインプレーの積み重ね

(とっさに手を掴んだ皇、最後に身をていして背中を押した緋山、など)

(いろんな卓の動画を見てきましたが、コージーはいろんな場面で死ぬ可能性はそれなりに高く、コージー死亡エンドの卓はいくつもありました)

 

・大黒壁でのドラマ

 

・山頂からの、濃すぎる展開

→『呪文取得により、山を支配できるかチャレンジ』『パラシュート発見』『消化管をくだって下山するルート』を見つけて検討するという、欲張りセット!

(私のイメージだと、YouTubeにある狂気山脈プレイ動画では、パラシュートで降りるパターンが多いかな、と。呪文取得は、あの遺跡に降りないことも多い気がします。)

 

・緋山の、2人を助けるために身をていして2人の背中を押すという発想…👀‼️

 

・たくさんの、面白い掛け合い

 

という、濃すぎる要素てんこもりで、とっても楽しかった!!!

 

TRPG狂気山脈のたくさんのプレイ動画が好きという狂気山脈ファンなら、「今回のセッションは見所が多い!」の意見に同意してもらえると思います。

 

TRPG狂気山脈のセッション配信も、今回の濃厚な感想会も、視聴していてすごく充実した時間でした。

ありがとうございました✨

 

☆セッション直後にツイートしたイラストです😊→→

f:id:tadorineru3:20210225030236j:image

 

 

『女王の恋人』ネタバレ込みの感想

f:id:tadorineru3:20210224042546p:image

 

『女王の恋人』

香月 律葉(著)

 

f:id:tadorineru3:20210224042816j:image

…………

ずるりと、自分の弱さを引きずり出されるような……!

自分も相手も壊したいほどの業火に追い詰められ囚われた人間たちの、劣情と執着を、その耽美さを、丁寧に描ききった物語。すごい!

甘やかなロマンスでは描けない美の形。

 

……………………

 

※※ここから先は、

ネタバレ込みの感想となります※※

 

…………………………

…………………………

 

まず、いきなり作品とは直接関係のない話題から入らせてください(申し訳ないです)。

 

先日Twitterで、『商業BL小説の最近の新刊の特徴』という話題から、どんな作品が好きか?というテーマで私はあれこれ呟きました。

 

商業BLの件は、最近『オメガバース』という特殊な設定のものがやたら増えてる、というものです。

その特殊性から、好きな人は好きだけど、苦手・興味がない層は、BLレーベルの新刊チェックの意欲が下がってるのでは…という意見を書いてみたのがきっかけです。

 

オメガバースの詳しい話は、知らない人には調べてもらうとして、肝としては

 

・男性も妊娠可能なオメガ、という性がある

・有能なアルファとオメガの間に『運命の番(つがい)』というつながりが発生することがある

・『運命の番』の結びつきは強固で、本人たちの意思をもこえる。

→だから、アルファがオメガを無理やり犯してしまったり、それでもオメガがアルファにメロメロになっていく…という作品がいっぱいあります。

 

で、私の意見……私はオメガバースという設定自体は好みではありません。

 

f:id:tadorineru3:20210224051553j:image

 

私の中で何がひっかかるかというと、オメガバースの『運命』やら、犯されても好きになっちゃう系の中には

 

執着や共依存と、愛が生半可にごっちゃになってる作品もあるなぁ

 

と感じることがあるのです。

 

執着愛、愛憎モノ、ヤンデレ愛……これは、これは1つの、人気ジャンルですよね。

 

そして、私は個人的にそこはツボではないのです。何度もそうツイートしちゃったから、今さら嘘はつけないっ(笑)!

 

そもそも、愛と、共依存的な執着(エゴ)は、物自体が違う。

だから『執着愛』って、すごく矛盾をはらんでるんですよね、もともと。

 

矛盾があるから、雰囲気だけで描いた作品って、物語としては中途半端。「なんとなく、萌え」「キャラや、エロの描写が性癖」みたいに、「物語性以外に魅力があるの?」みたいな作品になりがちな気がしてて。

 

でもでも!!!!

私のBLの入り口は、伝説的な漫画、

 

『絶愛』

 

なので、執着して相手を縛って壊すような激情の、その激しさ、耽美さは知っています。

あの作品は…ねぇ。

今となったら古くさいかもしれないけど、でも当時は衝撃作だったと思うし、ローティーンの私は理屈抜きに虜にされました。ドキドキしました。

 

いけない怖いものをのぞいてるような、背徳的な耽美さ。(同性愛だからいけない・禁忌なのじゃなくて、『絶愛』は求める劣情のスケールがヤバイのです。破滅的。

 

執着モノのジャンルで伝説・名作なポジションの『絶愛』とか『炎のミラージュ』が発するパワーは、凄い。いまだに惹かれ続けてます。

 

「執着も愛も、憎しみも」という矛盾を飲み込んでしまうような素晴らしい描写の作品は、アートな耽美さに感じられてしまう。ひれ伏してしまう……。

 

つまりはですね、

 

「執着モノを描くなら、極上のものを見せてのよ!!

共依存と愛が生温くごっちゃになってる作品じゃ、満足できないんだよ!!」

 

……て。

 

ある意味、うるさくて面倒な客なのです、私(爆)😂

 

私はアラフォーで、そして人間関係の感情にもみくちゃに揉まれる経験を、けっこう積んでしまってきています。

ぐっちゃぐちゃな経験、してます。

けっこうな体験をしてる分、「その憎しみが耽美レベルに昇華されるのか?」には、たぶん、チェックが厳しい。

 

生半可な執着モノは、味がすっとぼけて感じてしまう。

 

…って。

 

というか、そもそも「愛憎モノ、執着モノが好き!」って読者さん、その特殊性なジャンルの深い作品をたくさん摂取してる方が多い気がして、どんどん審美眼が磨かれていくような気もするんですよね。

 

だからきっと、このジャンルはものすごく味にうるさいお客さんが多いのでは??なんて思ってます。

 

…………………………

 

って、前置きが長くなってしまって、ごめんなさい!!!

 

執着モノが好みではないと何度もツイートしてるので、ここをおさえないと今からの「感動した、心が動いた」が、嘘に見えちゃう気がして。

だから、この記事にたどり着く方には、そこをどうしても伝えたかったのです。

 

で、ですね。

 

『王女の恋人』は

すごい熱量!!

半端ない丁寧さ!!

仄暗い欲望を、美として書ききってる!

 

と、感激しました。 

凄いですね、作者さん………。

 

香月さん、ヤバイ(褒め言葉)ですわ……。

 

私にとって、作者・香月律葉さんの作品、この小説が初でした。執着や愛憎モノ、と聞いて、実はちょっと身構えてしまってました、正直に言うと。

 

でも読んでみたら、作品の描写が映像のように頭に浮かぶ。鮮やかに。熱をもって。

 

ルーカの渇望と熱、歪んだ眼差しや狂気が、文章から切々と伝わってきて……怖くて、怖いのに、その熱に動かされる自分を感じました。

 

それは作者さんの『綺麗な気持ちだけではいられない感情』への眼差しが、どこまでも深く深く、鮮烈だからだと思う。

 

読み終わってすぐ、読了タグのツイートで書いた書評レビューは、こちらです。

 

ずるりと、自分の弱さを引きずり出されるような……!

自分も相手も壊したいほどの業火に追い詰められ囚われた人間たちの、劣情と執着を、その耽美さを、丁寧に描ききった物語。すごい!

甘やかなロマンスでは描けない美の形。

 

いやー、もう……

 

一番、感動感心したポイントは

 

【リディアはルーカに心を掻き回され苦しんだ側の立場なのに、いつしかリディアもまた、イサンの心を歪んだ気持ちで縛りつけ、すがっていってしまう】

ところです。

 

すごい!!!

 

『相手を苦しめてでも、忘れられるくらいなら、憎まれてでも、自分を刻みたい。』

 

最初は繊細さばかりが目立ってたリディアに、そんな気持ちを覚えさせてしまう。

 

そんな気持ちにリディアがなっていく描写が、物語として自然!

 

堕ちていく様子のリアルさ。

螺旋迷宮に囚われるような感覚。

 

作者はリディアの心から、ズルリと仄暗い感情を引き出し、そして読者の中にも「その仄暗い欲望は、自分にもあるのではないか……??」と思い出させてくるような。

 

さらに

 

縛り縛られ、傷を刻み合う彼らの姿に、倒錯的な美しさを感じる。

 

・四章、ルーカ

「やっと泣いてくれたね」

 

・六章、リディアとイサン

「ごめんなさい、許して」

「あなたのずるさを俺は罰し、許し、そして愛しましょう。あなたが求めるように」

 

・九章、ルーカ(回想)

『僕は死をもって姉さんを手に入れる。姉さんの半分は死に、僕の半分は生き続ける』

 

破滅的なのに、美しい……。

 

たぶん、作者さんの徹底した探究心と渇望が、そこまでの文章を生むんだろうなぁ……。

 

すごい文章書きますねえ、作者さん!!

 

………………………

 

結論としては

 

・執着モノが性癖でない私でも、しっかり書き込まれた作品の耽美さは、ぐっとくる…!

 

ということでした。

 

作者さんの今後の創作活動に、ますます幸あらんことを。

その眩いほど妥協のない熱が、物語をますます彩ってゆくと信じています☺️

 

以上、前置きが長すぎる、まとまらない読後の感想記事ですが、思いの丈を綴りました。お読みいただき、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

『赤と白とロイヤルブルー』ネタバレ感想

f:id:tadorineru3:20210222222446j:image

 

『赤と白とロイヤルブルー』

ケイシー・マイクイストン(著)

林 啓恵(翻訳)

二見文庫

…………………

ネタバレ込みの、萌えたポイントなどの感想を書きます!!!

…………………


【はじめに】


私は事前に、英語の原書『Red,White & Royal Blue』をKindleで買って読んでおりました。


なので、今回(2021/01/21)の日本語版の出版より前に、大まかなストーリーは把握済み。

 とはいえ!私は英語が大の苦手!!

英語の原書にトライするのはこの本が初めてでした。

(設定をネットで知り、どうしても、どうしても、どうしても読んでみたかったのです!!)


私の英語力では、Kindle機械翻訳を使用しないと、童話(英語)も読めません。


機械翻訳がとんちんかんな文章を提示したとき、英語に戻って自分なりに考えて読み直してましたが、意味のわからない部分が多々!

(とくに政治にまつわる部分が、てんで分かりませんでした!)


だから日本語版が出版されるというニュースを知った時、とてもとても嬉しかったです😊


そんなわけで、翻訳版の読書時は展開は知ってたものの…やはり、細かいニュアンスがわかると、ときめき倍増!

政治にまつわる部分もやっと理解ができて、2人の物語にさらに入り込めました。


(このように、もともと原書が大好きなので、感想は好き好きばっかりです)


翻訳版の出版、本当に本当にありがとうございました!!


【感想】

 

感想をうまくまとめるのが苦手なので、箇条書きを用いながらいきます!

(一部、ツイートに書いたことをコピペしますね)


………………


☆魅力のありすぎる脇役たち


「愛」を選べる、強く優しいキャラクターがいっぱい。


ノーラの少し変わった感じ(集中しちゃうと入り込んじゃうとか)、大好き!

189ページあたりの、アレックスの相談にフラットに答えてくれたり。(192ページで、ハリーとマルフォイに例えるのは最高w!)

571ページからの活躍のところとか、とにかく最高よ、ノーラ…✨✨

 

※ちなみに、アメリカの親しいスキンシップの事情がわからないのですが、アレックスとノーラって、普通に唇にキスするんですね!?(166ページ)👀⁉️

わたしの感覚だと、ビックリです。

これ、アメリカの若者では普通の感覚なんですか!?!?どなたか、教えて!!

 

・つよつよザハラ。

366ページの「もし立ち去るところを誰かに見られたら、この手であの世に送ってやる。わたしが王室を怖がると思う?」

528ページ「わたしの言うとおりにしないと、この手であんたの睾丸をもぎ取ってイヤリングに変え…」

最高すぎますwww

そして、あの人が婚約者とは!👀


・性について息子にプレゼンするママ・エレン。

読者としては、370ページのプレゼン資料には笑いましたがw、実の親だったら、困惑しちゃうww

そして、何より….

514ページ。

最高ですね!!!!!!


……他にも好きなキャラはたくさんですが、書ききれないので、ひとまずこの辺で(^^)


…………………


☆グッとくる、ときめきと、エロス!

 

まず最初にときめいたのは、68ページ

 

ヘンリー「きみが眼鏡をかけるとは知らなかった」

 

……もう、ここで私はアレックスとヘンリーの恋の始まりに、恋しました……(うっとり)

 

萌えたシーンは書ききれなくてブログの字数制限きちゃいそうなのでw、別の機会があれば🥰

 

・控えめな描写なのに、香り立つエロス

 

…本作は性描写はそこそこありつつ、でもBL小説と比べると超アッサリ。


それでも私は、『2度目のキスシーン』(208ページ)にとてもエロスを感じました!!


何故かなと考えると、『物語の展開による、読者としての私の心境の盛り上がり』なんだろうなぁ、と思います。


年明けのキスシーンから時間がたっていて、読んでて「え、どうやってまたキスできるの??」と焦らされて(焦らしがなんでもかんでも必要というわけではないし、焦らされれば萌えが増えるわけではない。その塩梅、調節はすごく大事だと思う)、


とにかくもう、必死じゃないですか、アレックス。


心に余裕はないけど、知恵を絞って、ノーラとかエイミーとかたくさん協力してもらいながら、わずかなチャンスにかけて……


そして、ほとばしる欲望。


そのダイナミクス


私ね、原書を読んだ時、あまりの萌えに放心でしたでございますよ………。


すごく………すごく、エロく感じました。


※なお、このシーンはまだ他にもお気に入り要素があって


・エイミーの「殺さないでしょうね」(208ページ)。言葉のセンスww


・ヘンリー、ズボンの前を鎮めるために、イギリス国歌を歌うとかww

 

笑いと萌えとエロスで、身悶えしまくった場面です!

 

もう……最高すぎるよ……。原書を読んだ時、この興奮を共有したくて、日本語版の出版を切に切に祈ってました。


そしていまや、Twitterをみると、同じシーンで悶絶したであろう日本の読者のツイートを見かけて、ホクホクしております🥰

(翻訳出版、本当にありがとうございます!!)


…………………


☆こんな未来を実現させたい…!


同性愛差別や人種差別を乗り越えていくアレックスとヘンリー。


649ページの「来て!」の場面、じーんとしました。


アレックスとヘンリーが、当たり前のように、恋人・家族として公の場で並べる世界。


実現、させたいですね…!


…………………


書ききれないので、また書きたいことがたまったら、こうやってブログに書くかもしれません。

長くなってので、いったんここまでの記事としますね。

 


読んでくださり、ありがとうございました!☺️